行政書士の方の名刺をもらうといろんな業務が書いてあって混乱することがあります。
会社設立、建設業許可、著作権登録、宅建免許取得、医療法人の手続き、遺言作成、内容証明郵便の作成、農地転用許可取得など。
これでも全部ではありませんが、それほど行政書士の業務は広いです。
許認可系
営業許可は大体行政書士の業務であることが多いのですが、他の法律で制限されている場合はできません(例:労働者派遣業登録は社労士業務)。行政書士の業務としては、建設業許可、宅建免許、風俗営業許可、飲食店営業許可、古物商登録、ファンドの登録などがあります。
文書作成系
内容証明郵便の作成、離婚協議書の作成、遺言作成などがあります。
国際関係業務
日本のビザの取得代行、帰化申請など、語学が得意な人がよくやってます。
依頼のコツ
行政書士は人数が多く過当競争気味なので、新人が安く仕事を請け負ってくれることがあります。簡単な許認可(古物商など)なら、そんな人を探すのも手かもしれません。ただ、営業許可やビザなど、許認可は基本的にはそれがないと仕事ができませんし、許可や認可が遅れれば業務のスタートが遅れて損害が出ることがあります。お店などは月の賃料だけで数十万はザラですから、早く回転できるかは資金繰りに大きく影響します。そういった場合は、少しぐらい高くても経験豊富な行政書士にササッとやってもらったほうが、総合的に考えるとよい選択ではないかと思います。
労務や年金に関する相談・書類作成などを行うのが社会保険労務士です。資格内試験を受けると特定社会保険労務士といって労使間の紛争のあっせんなどもできるようになります。
社労士と略されたりします。
そういえば、長い名前の資格って大体略称がありますね。
公認会計士だと会計士と呼ぶような感じです。弁護士とか税理士とか元々3文字の士業は略称がないですね。
少し話がずれましたが、最近未払残業を請求するケースが増えてきました。たまった残業代を一気に請求すると数十万円になることも珍しくありません。
中小企業は残業代を支払っていない会社も多いですから、複数の社員からそんな請求をされると冗談でなく会社が潰れます。
社労士と相談して対策を立てる必要が高まってきていると思います。
就業規則を作ったり、給与体系を再構築したりですね。
新規上場するに当たって、労務問題を抱えていないかという点は今非常に重要なポイントとなっています。IPOを目指す会社にとって社会保険労務士は欠かせない存在となっています。
今までは認知度があまりありませんでしたが、今後は認知度も上がって中小企業でも利用者が増えるでしょうし、持っていて価値があり、人から頼りにされるよい資格だと思います。
社会保険労務士に依頼する際は、下記の点に留意したほうがよいです。
・年金に詳しい人は意外と少ない。
-----年金相談をする場合は専門の社労士を探したほうがよい。
・中小企業の場合
-----給与計算だけを頼むのであれば値段で社労士を選んでもよい。ただ、本当に役立つのは労使トラブルになったときの対応などの場面。これは経験がものをいうので、少しぐらい顧問料が高くてもしっかりした人を選んでおくほうがよい。
発音だけ聞いて「便利士って何?」という人もいますが(笑)
凄く専門性が高い仕事をされている方達。
ズバリ知的財産権の専門家です。
出願業務
特許・実用新案・意匠権・商標の出願を行います。依頼するときのコツとして、商標は値段で選んじゃっても大丈夫かもしれません。特許はその技術がわかる人でないと辛いので、弁理士の専門を訊いておくことが必要です。大きく分けて電気・物理系の人とバイオ・化学系の人がいるので、どっちの人か確認しておくとよいでしょう。
訴訟
弁理士は弁護士と共同で特許訴訟の代理人になれます。最近の特許訴訟は弁護士だけでなくて弁理士も代理人となっていることが多いです。というのも特許というのは専門性が強すぎて訴訟の何でも屋さんである弁護士ではついていけないのですね。その分報酬も高くなりますが例の青色LEDみたいに多額の請求が認められるならペイするのかな?
海外業務
他の資格と変わっているところですが、日本の弁理士は海外への特許申請なども行ってくれます。なので国内の特許でも海外での特許でもなんでも相談しちゃってOKってことです。
鑑定・契約書作成
特許の鑑定も弁理士の仕事です。特許の契約書作成も弁理士の出番です。なにぶん専門性が高いので、知財分野ではひっぱりだこです。
他の資格と同様合格者数が増えてきて昔ほどオイシイ資格でもないようですが、まだまだ活躍の余地は多く有望な資格だと思います。
税理士の仕事は普通の人と接点もありますし、ちょっとした中小企業なら顧問税理士がいるでしょうから、仕事内容を知っている人は多そうです。
一言で言うと税金の専門家です。
税務相談に乗るのはもちろんのこと、個人であれば確定申告書作成をお願いしたり、相続が発生したときに相続税の申告書を作成したり、相続税対策を考えたりします。
法人なら会計業務として毎月の記帳代行もしくは記帳指導を行ったり、確定申告書作成・税務調査の立会などもします。
依頼するときのポイントとしては、まず税理士の特徴を摑みましょう。
大きく分けて次の4つに分けられると思います。
1)税理士試験合格者
2)税務署OB
3)大学院を出て税理士試験を免除された人(会計と税法2つの大学院を出ると試験を全く受けなくても税理士になれてしまうというオソロシイ制度です。会計と税法両方免除の人はダブルマスター、片方の人はシングルマスターと呼ばれています)
4)弁護士・会計士など、他の資格を持っていることで税理士登録できる人
当然のことながら(1)の人が一番優秀です。税理士試験は科目選択制ですので、試験合格者の中でも仕事でよく使う科目に合格している人のほうがなお良いです。法人の仕事をするなら法人税を選択した人etc.
(2)の税務署OBは、現役時代担当だった分野には強いけれど、それ以外の税法の知識は弱い傾向があります。ただ、国税査察部(マルサ)出身など、特殊な事情に通じている人もいますし、税務調査の時には税務署側の対応を熟知しているといった理由で頼りにされている人も多いようです。
(3)は基本的には頼んで大丈夫なの?という感じです^^
まあそういうボスのところは大きな事務所でスタッフが充実していたり、仕事面では意外とよかったりもするみたいですが。なかには卒業後に血のにじむような努力をして知識を身につけた人もいると思いますので、全員が全員知識がないと決めつけてしまうのはよくないですね。
(4)のタイプは、やはり税法の知識に不安が残ります。ただ、他のサービス(公認会計士であれば上場支援、弁護士であれば法律顧問など)とセットで頼める便利さはあります。公認会計士は税法の知識が弱いと自覚しているのか、税理士と組んで事務所を経営している人も多く、現実には弱点はカバーされていることがほとんどでしょう。
公認会計士の試験に合格すると、公認会計士補になります、その後実務経験を積んで再度試験に合格すると、晴れて公認会計士と名乗ることができるようになります。
公認会計士は登録だけ(無試験)で税理士の仕事もできますが、そちらは税理士編で書くのでここでは割愛します。
税理士業務ではない、純粋な公認会計士の仕事というのは一般人にはかなりミステリーな部分があるのではないでしょうか?
私は仕事で公認会計士とお付き合いがありますので、一般人よりは知っていると思いますが、かなり広範囲なことをしているので、全部を把握できているかというと???です。
公認会計士が集まって大企業の監査をする監査法人という法人がありますが、その部署数だけでものすごい数があります。普通の監査法人であれば、
・上場企業の監査
・上場準備企業の監査
(上記2つは会社法に基づくもの)
・金融商品取引法に基づく監査
・内部統制に関する監査
・税務や会計に関するアドバイス
など行っています。
大きな監査法人は海外の監査法人と提携していて、外国の税制や会計に関するアドバイスもしますので、海外展開している大企業には欠かせない存在です。
M&Aのアドバイザー業務をしている公認会計士も多いですが、これは監査法人というより、関連会社のM&A仲介・アドバイザリー会社に所属して行っていることが多いでしょうかね。
企業評価は特に資格に制限はないのですが公認会計士が行うことが多いでしょうか。特に大企業のもの。民事再生など裁判所がからむ手続きで株式の評価が必要になったときは裁判所が公認会計士に評価を依頼します。企業評価という意味ではそのように信頼があると言えるのでしょう。
公認会計士個人でも上記の業務を行っていますが、個人だとやはり中小企業向けになるでしょうか。
無理矢理まとめると、会計についてかなりステータスの高い仕事をしているのが公認会計士です。
会社法に基づく監査(会計監査人)は、弁護士でもできない公認会計士(または監査法人)の独占業務であります。
司法書士の仕事には次のようなものがあります。
不動産売買の登記
古くからあり、今でも多くの事務所の主要業務となっているものは不動産登記かと思います。不動産を売買したときに、所有権移転の登記や抵当権設定の登記をします。普通の士業の仕事は、知識や時間のある人ならば自分で手続きをするという選択肢が存在しますが、不動産の売買はそういった選択肢が存在しない珍しい手続きです(家族間の売買など一部例外あり)。
なぜなら、不動産の売り主は、確実に代金がもらえることを希望しますし、買い主は登記名義が確実に自分のものになることを要求します。司法書士が間に入って双方から書類を預かって確認した時点で不動産の引き渡しがされたことにして、売買代金を支払い、すぐさま司法書士が法務局に登記を申請することで、全部が同時履行(若干のタイムラグはありますが)されるという不動産の取引慣行があるためです。
これを買い主が自分で登記すると言い出したらどうなるでしょう?
不動産決済の場所で買い主は売り主から所有権移転登記に必要な書類を預かり、買い主は代金を支払った。しかし、買い主が自分で登記しようとして書類を作っているうちに足りない書類をみつけたとします。売り主はお金もらっちゃってるので、買い主がどうなろうと知ったこっちゃないです。買い主が登記ができないのをいいことに、別の人に再度不動産を売って代金をせしめたりするかもしれません。登記名義を持っている人が最終的にその不動産の持ち主であるという原則があるので、悪知恵が働くならそんなこともできちゃいます。
司法書士が即時に間違いなく登記を終わらせるという世間の信用があるので、こういう習慣ができました。
不動産相続の登記
身内が亡くなって不動産を相続すると、相続登記をします。これは売買と違って自分でやる人もいますね。いくら時間をかけても困るのは自分だけなのでそんなことも成り立ちます。戸籍を集めたりするのが面倒なので、戸籍の収集から司法書士に頼んでしまったほうが楽といえば楽です。
弁護士の仕事は簡単に言うと、
1)もめごと解決
2)もめごと予防
の2つなんじゃないかと思います。
1は大きく民事事件と刑事事件に分けられます。
民事事件はお金を貸して戻ってこないとか、売掛金があるが払ってくれないとき、回収を代行する仕事です(他にもいろいろありますが、ここでは割愛)。
裁判を起こして回収することもあるし、そこまでしなくても相手と交渉して取り返したりします。
裁判すると時間もお金もかかるので、任意の交渉で済むなら通常はそのほうがいいですね。
刑事事件は犯罪を犯した(もしくはそのように疑われた)人の弁護です。
ある程度以上の犯罪の嫌疑で警察に捕まると弁護士を頼むか訊かれるはずです。自分で弁護士を頼むお金があれば(着手金はおそらく30万~50万円)、そこで頼みます。頼むお金がなければ、国選弁護人といって国が費用を負担する弁護士をつけてくれます。
国選弁護人の報酬はそれほど高くありませんので、弁護士のモチベーション的に(笑)
仕事内容もそれなりになってしまうおそれがあります。
やはり自分で弁護士を選任できるならそれに越したことはないです。
もちろん正義感に溢れて報酬に関係なく真摯な仕事をする弁護士もいますが、国選だと誰に当たるかわからない(選べない)ですからね。
2は、1みたいなことにならないように、事前にアドバイスをしたり、契約書のチェックをしたりする仕事です。
それが少し大規模になると、大企業向けにM&Aの法務の仕事などもします。基本は法律に則って手続きが進むようにアドバイスしたり書類を作ったりすることの積み重ねです。あと、デューデリジェンスといって買収先の会社に法律的な問題がないかチェックしたりもします。デューデリジェンスは、大量の書類を短期間にチェックしなければならないことが多いので、大規模事務所でないと受けられない仕事になるかと思います。
弁護士の報酬は、
訴訟なら着手金20万円~、プラス成功報酬(判決・和解などの金額の10%などと最初に取り決めします)といった感じでかかります。
企業法務(会社の契約書のチェックやM&Aの法務など)は、タイムチャージ(作業や相談にかかった時間x時給で請求)の事務所が多いです。時給は最低1時間3万円はします。
個人の相談であれば、1時間1万円くらいから相談に乗ってくれます。
上記は私の経験からみたおおよその目安なので、実際に依頼する際はその弁護士に確認してくださいね。
公認会計士と税理士はどう違うんでしょうか?
公認会計士特有の業務として、会社法に基づく会計監査人としての監査業務があります。公認会計士個人でも監査業務を行うことができますが、よく大企業の監査をしているのは監査法人ですね。
大企業は規模が大きくて一人の会計士ではチェックしきれません。そこで監査法人という制度があり、公認会計士5名以上(+αで米国CPA等が社員として加入もできます)設立して法人として監査に当たることができます。
公認会計士の資格があると、税理士登録して税理士業務もできます。
昔は登録しなくてもできましたが、今は税理士登録が必要になりました。
そうなると、単純に公認会計士>税理士と考えてしまいそうですが・・・
公認会計士試験では短答式で財務会計論・管理会計論・監査論・企業法の試験があり、論文では会計学・監査論・企業法・租税法そして選択科目として経営学・経済学・民法・統計学があります。
税法の比重が少ないのです。
普通の中小企業の税務顧問・確定申告書作成を依頼するなら、税理士のほうが税法に詳しいし、報酬も安いことが多いので、いいんじゃないでしょうか。
将来上場を目指すなら、公認会計士さんに税務をお願いすれば、普段の税務+上場に関するアドバイスも貰えると思うのでよいのではないでしょうか。上場しようとすると、会計基準も通常の中小企業と違ったものになりますので、上場準備段階で会計処理を上場会社に準ずるものに移行するときも、設立当初から公認会計士に依頼していたほうがスムーズかもしれません。
それなりの規模の事務所であれば、税理士試験で税理士になった人も、公認会計士試験で公認会計士・税理士をやっている人も、両方在籍していることが多いので、いろいろな面からのアドバイスがもらえるんでしょうねv
司法書士と行政書士は両方とも「書士」とつくので混同しやすいですね。
「カバチタレ!」や最近だと「特上カバチ!!」など漫画やドラマの効果もあって行政書士のほうが知名度があるかと思います。
登録者数で比べると、それぞれ
行政書士 約4万人
司法書士 約1万8000人
です。
行政書士のほうが圧倒的に多いです。
カタイ定義をすると、司法書士は登記など法務局・裁判所がらみの業務を行い、行政書士は他の士業法で禁止されていない許認可や、権利義務または事実証明に関する書類作成となります。
すごく簡単にまとめると、
司法書士は、登記や裁判所に提出する書類作成など
行政書士は、許認可や内容証明郵便作成など
ということになります。
日本の資格は基本的に省庁ごとに分かれているので、そういう観点から考えると多少わかりやすくなるでしょうか。
司法書士は、法務省管轄の資格です。
法務省の下には、裁判所、法務局(登記、供託)などがあります。
行政書士は、総務省管轄の資格です。
よって、法務局に提出する書類作成や、労働局(厚生労働省管轄)、税務署関係の書類(確定申告書など)の提出はできないということになります。
ただ、他の法律で規制されていなければ扱えるので、ファンドの登録手続きなどもできます。
ややこしいです(笑)。
ちなみに、資格が省庁ごとに分かれているのは公務員の退職後対策のためです。どの資格も官公署に何年か勤めると簡単な試験で資格が取れるようになっています。もちろん、公務員時代の仕事と取れる資格はある程度関係があります。司法書士であれば法務局か裁判所に勤めていなければなりません。
詳しくは個別のページに書いてみたいと思います。
弁護士と司法書士ってどう違うんでしょうか?
最近は司法書士にも簡易裁判所の訴訟や裁判外和解の代理権(140万円以下)が与えられたため区別がつきにくくなってきたような感じもします。
テレビCMで宣伝しているのも、弁護士・司法書士両方の事務所があります。
弁護士はオールマイティーな資格なので、世の中の法律職や税理士がやることはほとんどなんでもできます。といっても報酬が高いのでなんでも頼むと損します。依頼内容によって専門家を使い分けるのが賢い方法です。
弁護士に頼んだほうがよい案件としては、民事では金額の高い訴訟、もめている遺産分割問題が主なところでしょうか。
140万円を超える金額の訴訟や交渉は弁護士でないとできないので弁護士に頼むしかないというのもありますが、基本的に訴訟のプロですから、一番適切に対応してくれます。
家事事件(相続など)も、もめていなければ他の専門家(司法書士・行政書士・税理士)に手続きだけ頼んだほうが安く済みます。ただ、もめているときは弁護士に間に入ってもらったほうが早く解決するでしょう。
巨大な法律事務所では大企業の企業法務を得意とするところもあります。大規模なM&Aなどでは、短期間に大量の仕事を処理しなければならないことがあるので、そういった場合は大きな法律事務所に依頼せざるを得ないこともあります。高いですが(笑)。
これに対して司法書士は特化型の専門職です。基本的には法務局の手続き(登記・供託)の代理と、裁判所に提出する書類の作成(140万円以下の案件を除いて代理はできないので書類作成のみ)が仕事です。
不動産や会社の登記を得意とする人が元々は多かったのですが、最近では債務整理や過払い訴訟に進出している人も増えました。